延岡市では以前から『徘徊を繰り返し、警察や地域の方に何度も保護されている』、『携帯電話を身につけず外出してしまう』など、ご家族からこのような相談が寄せられていました。認知症による徘徊があった場合、これまでは警察からの身元照会(確認)があった場合やSOSネットワークでの情報が流れてきた場合に関係機関へ情報伝達をするなどの対応を行っていました。
市内で行方不明の高齢者が数ヵ月後に亡くなった状態で発見された事案をきっかけに、認知症高齢者による徘徊に対して早急に施策を行うことになりました。認知症高齢者による徘徊の発生件数や頻度、困っている家族がどの程度いるのかなどの状況が把握できていない現状があり、利用がなくても継続的な費用が発生するサービスの導入は困難な状況でした。将来にわたっての費用対効果など、事業化する上での課題もありました。そのため、継続的な経費がかからず、見守りの仕組み全体への影響が少なく(見守りネットワークを補完する形での運用が可能)、事業の見直し等が比較的やりやすいという点から、どこシル伝言板の導入を決めました。特に、コールセンター等の委託契約を締結する必要がなく、初期購入のみでランニングコストがかからない点が導入の決め手となりました。
導入前に比べ、「徘徊高齢者」についての情報が集まりやすくなりました。今後、どこシル伝言板の利用者に対しても「モニタリング」という形で、近況や困りごと等の聞き取りをする予定です。
延岡市では段階的に周知をしていく予定で、まだ利用者が少ない状況ではありますが、利用者が少ない段階でも、認知症の方やその家族に対する情報収集や支援のきっかけとなったことは、非常に良い効果だと感じています。